授乳中に使用しても安全と考えられられている薬があります。抗原回避だけでつらくなければお薬を使わない方がよいのですが、症状がつらい場合は無理して我慢する必要はありません。

当院のお勧め

まずは抗原回避を徹底してください。そのうえで症状が強い場合は「クラリチンまたはデザレックス」内服+「ナゾネックスまたはフルナーゼ」鼻スプレーの併用をお勧めします。花粉症の場合の使用開始時期は症状が少し出始めたくらいから始めることをお勧めします。花粉症は重症化すると悪循環するため重症化する前からの使用開始をお勧めします。

お勧めする理由

クラリチンやデザレックスは眠気が出にくい薬です。授乳中は眠いことが多いと思いますので眠気が出にくい薬が適しています。ただしクラリチンやデザレックスは効果が強い薬ではないので局所ステロイドスプレー(ナゾネックスまたはフルナーゼ)を使用しないと症状をコントロールできないことが多いため併用をお勧めしています。局所ステロイドスプレー(ナゾネックスまたはフルナーゼ)は眠気が全くでない上に正しい使い方をすると内服薬以上の強い効果が認められます。

内服薬については次に挙げたものは安全と考えられています。

国立成育医療研究センターのホームページ(2023年2月23日)を参照しています。私の臨床経験上も乳児に有害事象が起きた経験はありません。

  • ロラタジン(クラリチン)
  • デスロラタジン(デザレックス)
  • フェキソフェナジン(アレグラ)

点鼻(鼻スプレー)・点眼(目薬)については点眼薬や点鼻薬の授乳中使用が赤ちゃんに影響する可能性は低いと考えられます。

アレルギーの点眼薬や点鼻薬には抗ヒスタミン薬が含まれるもの、ステロイドが含まれるものなどがありますが、薬の添付文書などによるといずれの成分もお母さん自身の体内に吸収される量が非常に少量です。母乳移行する薬の量はさらに少なく、ごくわずかですので、点眼薬や点鼻薬の授乳中使用が赤ちゃんに影響する可能性は低いと考えられます。のみぐすりで使用される抗ヒスタミン薬の中には、母乳移行を調べて少なかったと報告されているものもあります。【授乳中安全に使用できると考えられる薬】の表にも記載しておりますので、ご参照ください。

国立成育医療研究センターのホームページ 授乳中の薬Q&Aから抜粋
  • フルチカゾンプロピオン酸エステル(フルナーゼなど)
  • フルチカゾンフランカルボン酸エステル(アラミストなど)
  • モメタゾンフランカルボン酸エステル(ナゾネックスなど)
  • デキサメタゾンシペシル酸エステル(エリザスなど)

育児が忙しく医療機関にかかる時間が取れない方にはスイッチOTCでも上記の薬が買えます。

ロラタジン(クラリチン)やフェキソフェナジン(アレグラ)はネットでも購入できます。

スイッチOTCについては詳しくまとまっているサイトがあるので参照してください。

スイッチOTCについての電話相談などは当院では受け付けていませんので各自自己責任で薬局、ネットなどで情報収集してください。