強力な抗炎症作用でアレルギーによる炎症を抑える薬です。花粉症の症状すべてに良く効きますが、1回だけスプレーしても全く効いた感じがしません。しかし連用により強い効果が出ますので連用してください。教科書的には1~2日で効果が出るとなっていますが、患者さんが効果を実感できるのは使用後3~5日後のことが多いです。アレルギー性鼻炎に使用して全く効かないことは普通ありません。全く効かない場合はウイルス性の鼻炎や副鼻腔炎であることが多いので使用をやめて医師に相談してください。
局所ステロイドスプレーのまとめ
- 連用しないと効果が出ない(鼻づまり・鼻水が悪化した時に1回だけスプレーしても効果はあまりありません)
- 効果が強い
- 初期からの連用で症状のピークを抑制できる
- くしゃみ鼻水だけでなく鼻づまりにも効果が強い
- 眠気が出ない
- 目の症状にも効果がある
- 副作用が少ない
薬の名前と使用法
- フルナーゼ(フルチカゾンプロピオン酸エステル):毎日定期的に1日2回、各鼻腔(左右に)に1回1噴霧使う(症状の強いときは1日4回使う)
- ナゾネックス(モメタゾンカルボン酸エステル水和物):毎日定期的に1日1回、各鼻腔(左右に)に12歳以上は1回2噴霧、12歳未満は1回1噴霧使う。
- アラミスト(フルチカゾンカルボン酸エステル):毎日定期的に1日1回、各鼻腔(左右に)に12歳以上は1回2噴霧、12歳未満は1回1噴霧使う。
- エリザス(デキサメサゾンシペシル酸エステル):毎日定期的に1日1回、各鼻腔(左右に)に1噴霧ずつ行う。
それそれの特徴
- フルナーゼは成人用と小児用に2種類あります。使い方は成人用小児用ともに同じです。1回の噴霧量が小児用では半分になっています。
- フルナーゼは症状が強い時は1日4回までの増量が認められています。
- フルナーゼ、ナゾネックス、アラミストは液体ですがエリザスは微細な粉のスプレーです。
- エリザスは液体スプレーで刺激感が強い人や液体スプレーのに臭いが苦手な人に向いています。
- エリザスは小児の安全性の臨床試験が行われていないため小児には用いられません。
効果
効果はどのお薬も同じくらいと考えられています。
鼻水 | くしゃみ | 鼻づまり | 眼の症状 | |
効果 | 〇~◎ | 〇~◎ | ◎ | △~〇 |
〇な使い方×な使い方
〇な使い方
- 毎日定期的に使う
- 花粉飛散開始(花粉症の症状が少し出たくらい)から花粉飛散終了まで使い続ける
- ネバネバした鼻水や黄色や緑の鼻水が出ている時は使わない
- 鼻の入り口に炎症があるとき(鼻くそが多いとき)は使わない
×な使い方
- 鼻づまり、鼻水がつらいときだけ使う
- 症状が強くなってから使う
- ネバネバした鼻水や黄色や緑の鼻水が出ている時に使う
詳しい説明
- 鼻づまりが強いときや鼻水が多いときだけ使っても効果は感じられません。しかし3~5日続けると効果が出てきます。
- 花粉症については初期治療と言って症状の出始めてすぐで症状の軽いうちから治療を始めるとピークの症状を抑えることができるとされています。最近推奨されている治療です。東京では2月上旬くらいから5月上旬くらいまで続けるとよいと考えます。花粉が多くなってき症状が気になるときは1日4回まで回数を増やしても大丈夫です。
- ネバネバした鼻水や黄色や緑の色のついた鼻水が出るとき、鼻くそが多いときは細菌感染を合併しています。細菌感染があると悪化することがあるのでフルナーゼを一時中止して耳鼻咽喉科を受診して必要があれば治療を受けてください。
- 最近の研究で鼻腔内でのアレルギー反応を抑制することで眼症状が改善する可能性が考えられています。これは鼻-眼軸索反射が抑制されると推定されています。
- 副作用は少ない薬です。主な副作用は刺激感、乾燥感、鼻出血、不快臭です。ステロイドのお薬ですが内服ステロイドとは違いほとんど体に吸収されないため1年以上の連用でも全身的副作用は少ない薬です。