アレルギー性鼻炎の手術方法には大きく分けて①下鼻甲介に対する手術②後鼻神経切断術の2種類の手術があります。下鼻甲介に対する手術を何で行うかによって、レーザー手術、アルゴンプラズマ手術、トリクロール酢酸手術と呼ばれます。ここではクリニックレベルで行われる下鼻甲介粘膜手術の違いを説明します。
レーザー手術、アルゴンプラズマ手術(APC)、トリクロール酢酸手術(TCA)による違い
下鼻甲介に対する手術の代表的なものに下鼻甲介粘膜焼灼術があります。この手術は下鼻甲介粘膜を焼灼しアレルギー反応を起こしにくい粘膜に変性縮小させます。粘膜が変性縮小することにより鼻づまり、くしゃみ、鼻水が軽減します。現在行われている手術で代表的なものにレーザー手術、アルゴンプラズマ手術(TCA)、トリクロール酢酸(TCA)があります。焼灼する場所は同じなのですが用いる方法がレーザーを使うのか、アルゴンプラズマ(APC)を使うのか、トリクロール酢酸(TCA)を使うのかの違いです。それぞれ特徴がありますので簡単に説明をします。
レーザー手術の特徴(当院では行っていません)
- 点で焼灼:下鼻甲介粘膜を点で焼いていくので均一に焼灼しずらく時間がかかる
- 焼灼時にエアロゾル(煙)が出る:新型コロナ流行時には危険を伴う
- 水分があるとうまく焼灼できない:鼻水が出ているときには不可能
- 費用が高い:アルゴンプラズマやトリクロール酢酸の約1.5倍の費用が掛かる
- 効果はアルゴンプラズマとトリクロール酢酸の中間くらい(出力によって異なる)
- 手術後の鼻水鼻詰まりは2週間程度つらい(特に最初の3日間鼻づまりが非常につらい)
- 効果の持続は6~24か月程度
アルゴンプラズマ手術(APC)の特徴(当院で行っています)
- 面で焼灼:下鼻甲介を均一に早く焼灼できる
- 焼灼時にエアロゾル(煙)が出る:新型コロナ流行時には危険を伴う
- 水分があってもうまく焼灼できる:鼻水が少しなら出ていても焼灼可能
- 費用が安い:レーザー手術に比べ2/3程度の費用。トリクロール酢酸手術と同じ
- レーザーに比べ少し効果が高い:出力による。
- 手術後の鼻水鼻詰まりは2週間程度つらい(特に最初の3日間鼻づまりが非常につらい)
- 効果の持続は6~24か月程度
トリクロール酢酸手術(TCA)の特徴(当院で行っています)
- 面で焼灼:下鼻甲介を均一に早く焼灼できる
- 焼灼時にエアロゾル(煙)が出ない:新型コロナ流行時にも施行可能
- 水分があるとうまく焼灼できない:鼻水が出ているときには不可能
- 費用が安い:レーザー手術に比べ2/3程度の費用。アルゴンプラズマ手術と同じ
- アルゴンプラズマ手術やレーザー手術に比べ効果が弱い
- 手術後の鼻水鼻詰まりは3日~7日程度で軽度
- 下鼻甲介だけをうまく焼灼(鼻中隔に薬剤をつけないように焼灼)するのに技術を要する
- 効果の持続は3~6か月程度
特徴のまとめ
レーザー | APC | TCA | |
効果 | 〇~◎ | ◎ | 〇 |
手術時間 | △ | ◎ | ◎ |
手術後のつらさ | 〇~△ | △ | ◎ |
効果の持続 | 〇 | 〇 | △ |
費用 | × | 〇 | 〇 |
花粉症にお勧めの手術は
トリクロール酢酸>アルゴンプラズマ手術>レーザー手術です。