2023年スギ・ヒノキ花粉症対策-今から間に合う対策-
2023年春はスギ花粉の飛散が非常に多いと予想されています。毎年薬を使っていても症状がつらい方は早めの対策をお勧めします。今シーズンのための舌下免疫療法の開始は間に合わないため、舌下免疫療法をご希望の方は6月以降に来シーズンに向けての開始となります。「舌下免疫について」をご覧ください。
クリニックを受診する暇がない人や軽症で市販薬で十分という方は「スイッチOTCを使った花粉症対策」をご覧ください。症状が軽く長く続かない方は市販薬を使った方が健康保険を使ってクリニックを受診するより費用を抑えることできる場合があります。スイッチOTCについての費用のお問い合わせは受け付けていませんので各自お調べください。
(参考)花粉症で当院におかかりいただいた場合の費用の目安は手術をしない場合、初診で3000円~9000円程度、再診で600円~2500円程度のお支払いとなります。薬代は別で調剤薬局でのお支払いとなります(薬代については調剤薬局にお問い合わせください)。
今から間に合う対策
舌下免疫 | 抗原回避 | 内服薬 | 鼻スプレー | 簡単な手術 | |
今から間に合う? | 開始は×、以前から継続の人は〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇(症状が軽いうち*1) |
お勧めの時期 | 6月から11月(*2) | 2月~5月 | 2月~5月 | 2月~5月 | 12月~2月中旬まで |
*1:症状がごく軽いうちは施行可能ですが、お勧めは12月~2月上旬。
*2:スギ花粉に対する舌下免疫療法は花粉症の影響がない時期に開始します。今シーズンの花粉症に対する舌下免疫治療の開始はできません。理由は花粉症シーズンに舌下免疫療法を開始すると副作用が強く出る可能性が高いからです。
悪化する前の対策
- 抗原回避:スギ・ヒノキ花粉の回避です。アレルギーの原因となる花粉を避ける。花粉をたくさん浴びなければ症状は軽く済みます。
- 初期治療:症状がごく軽いうちに有効な治療を始めると花粉が多くなってからも重症化しづらいことが分かっています。
- 簡単な手術:症状が出る前~症状が軽いうちに下鼻甲介粘膜を焼灼しておくと、特に鼻づまりの悪化を抑えることができます。
抗原(アレルギーの原因物質)回避
スギ・ヒノキ花粉をたくさん浴びる(吸入する)と症状は強く出ます。スギ・ヒノキ花粉症の体質があっても花粉を浴びなければ症状は出ません。治療の第一歩です。特に、症状が強く出る方は薬を使っていてもたくさんの花粉を浴びると症状は抑えきれませんので必ず抗原回避を行ってください。具体的な方法はボタンを押してください。
初期治療
スギ・ヒノキ花粉専用の薬はありませんが、抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン薬)や局所ステロイドスプレー(鼻スプレー)を症状のごく軽いうちから使用することによって重症化の予防ができます。あまり知られていませんが局所ステロイドスプレーは飲み薬のステロイドとは違い体にほとんど吸収されないので副作用が非常に少ない薬です。しかし鼻の中では、強く確実な効果があり、予防効果もあります。しかし、正しい使い方をされていない場合が多くみられます。症状の強い時だけ使用して効果が出ないと訴える方を多く見てますが、連用すれば強く確実な効果を発揮しますので毎日連用してください。3~5日スプレーを続けると効果実感できると思います。詳しくはボタンをクリックしてください。
簡単な手術
毎年薬を使っていても鼻詰まりが強くつらい方にお勧めです。
鼻の中の下鼻甲介というアレルギーで腫れる粘膜をレーザー、アルゴンプラズマ、トリクロール酢酸などを用いて焼灼する手術です。当院では花粉症に対して「トリクロール酢酸」を用いた手術を行っています。手術といっても鼻の中に麻酔薬のついた綿を15~20分程度入れて麻酔が効いたら、特殊な綿棒でトリクロール酢酸という強い酸を塗るだけの手術です。術後の鼻水・鼻詰まりの悪化がレーザーやアルゴンプラズマに比べて軽いのでお勧めの治療法です。詳しくはボタンをクリックしてください。
悪化してからの対策
- 原因の特定と治療
原因の特定
悪化する原因は主に次の2つ。
- 急性上気道炎(風邪・副鼻腔炎)にかかっている
- 花粉をたくさん浴びている
1.急性上気道炎(風邪・副鼻腔炎)にかかっている
【原因】
花粉飛散の少ない時期に悪化した場合のほとんどは急性上気道炎(風邪)にかかっています。周りの人が辛そうでないのに自分だけつらい場合です。鼻水・鼻づまりが悪化して数日でドロドロした鼻水やのどのイガイガや痛み、咳や痰が出てきたなどは急性上気道炎(風邪)の合併です。
【治療】
- 花粉症の薬に加えて急性上気道炎の薬を追加。(ウイルス性のため数日は症状の進行や変化がある)
- 色のついたドロドロした鼻水や痰が出てくれば抗生剤を追加します。(初期はウイルス感染のため抗生剤を使用しません)
- 色のついたドロドロした鼻水が出ている時に局所ステロイドスプレーを使用すると悪化するため、一時的に局所ステロイドスプレーは中止します。
2.花粉をたくさん浴びている
【原因】
花粉飛散が多い時に、サラサラした鼻水、鼻づまり、のどのかゆみや目のかゆみが悪化している場合がこれに当たります。花粉飛散が多い時期であってもドロドロした鼻水や、明らかなのどの痛み、痰を伴う咳がある場合は、花粉をたくさん浴びた影響に加え急性上気道炎(風邪)の合併しています。
【治療】
急性上気道炎の合併のない悪化の場合に行う治療は症状に応じて次の治療を行う。
- 抗原回避の徹底。
- 抗アレルギー薬の変更。
- ステロイド内服薬の屯用。(内服薬のステロイドは副作用が出る可能性があるためできるだけ短期使用にとどめる)
- 局所ステロイドスプレーの回数を増やす。
- 鼻づまりの強い時は血管収縮剤スプレーの屯用。(鼻づまりにはよく効くが使いすぎると悪循環を起こすため短期間の使用にとどめる9